花色の月


歌にも、桜ちゃんにも見捨てられた

あたしなんて…




ダメだって思うのに、やってから必ず後悔するのに…

分かっているに、いつも机の引き出しに入れてある物に、そっと人差し指を走らせた。






「花乃っ」


「花乃ちゃーん!」


…?

えっと……

勢いよくドアが開いて、鬼気迫る顔をした那月さんと知花さまが飛び込んできた。

あれ…知花さまの顔のアザは治った筈では?



「ごめんっ!無神経な事言っちまった…」


「躾が行き届かなくて申し訳ありません。
折檻しておきましたから」


そのアザは、那月さんですか…?

あの……近いです。


知花さまのどアップって迫力満点。
アザがあって慌てているのに、それでも崩れてないなんてズルいと思う。



「…すみません」


「なんで花乃ちゃんが謝んだぁ?
俺が全面的に悪いのに」



そんなことない………