想われたくて…‐姉と私とあの人と‐

「――では、失礼致します。」


――カチャッ


受話器を置くと同時に、木下サンが事務所に入ってきた。


「どうだった?」


「ハイ、2ヵ所とも、オッケーだそうです。
こっちの、少し遠い方から、行ってみます。」


行った事の無い場所だったけど、見学自体は、木下サンに付いて何度も行っていたから、道さえわかれば大丈夫だと思って一人で行こうとしてた。


でも……


「俺も行くわ。

もし、道迷ったら、大変だからな。

そのかわり、道教えるだけだぞ?
口はださないからな?」


やっぱり優しい人。


「ありがとうございます!」


あたしは素直に木下サンの好意を受けた。