想われたくて…‐姉と私とあの人と‐

ついに―――



志保様が、お色直しのため、退場した。



ここから、サプライズスタートだ!



あたしは、直ぐに“STAFF ONLY”と書かれた扉の前まで行った。



すぐに台車を転がしながら、式場スタッフが出て来た。


「あ、どうも!これ、お願いしますね!」



スタッフの女性にそう言われ、打ち合わせ通りに台車を預かった。



台車の上には



四角い大きな箱。




あたしはそれを、新郎新婦の席の前に運んだ。



その間に、神崎様はマイクを持ちゲスト達に説明を始めた。



『えー、皆さん、今日は本当にありがとうございます。……実は、彼女の誕生日が近く、サプライズでお祝いをしようと考えていました。』


男性陣から、“ヒューヒュー!”という声が上がる。


『皆さんに協力して欲しいのです。

えっと、恥ずかしながら僕が彼女へ手紙を読みます。

そしてその間に、事前に相談しておいた彼女のお友達の方々が、歳の数だけ、1本1本ケーキにキャンドルを立ててくれます。

それが終わったら、皆さんでHappyBirthdayの歌を歌って欲しいのです!』


会場内は、ざわめく。


みんな、“ウンウン”って頷きながら笑顔を溢している。 



『ピアノに合わせて歌ってください。
どうか、お願いします!』


そこまで言うと、神崎様は深くお辞儀をした。



大丈夫。



きっと志保様、喜んでくれるよ!