目の前に置かれた唐揚げに手を伸ばす。あーっ、やっぱり賢のおじちゃんが作る唐揚げは最高だな。


そういや、中学の頃にお母さんと大げんかしてお弁当箱2段とも白ご飯がぎっちり詰め込まれていただけだったことがあったんだよ。


その時、隣だった賢のお弁当箱から光り輝く唐揚げを見つけて頼み込んで貰ったんだよな。



「おいっ、雫。今日の目的忘れてねーだろな?何、惚気てんだよ、バカ!!」



後ろからお盆で頭を叩かれる。賢、何すんねん!痛いやろ!ニュートン死んだらどないするんじゃ!!


ってそうだそうだ忘れてた。今日の目的は栗原くんに謝ること。でも、肝心の栗原くんがいない。



「ねえ、賢。栗原くんは?!」



栗原くんの名前を出した途端、あたしの携帯を見てきゃっきゃっと盛り上がっていた女子たちがピタッと止まった。



えっ?あれ?あれ?
あたし、なんか変なこと言った?

「バカー!ちょっと来いバカ雫」