譲があたしを雫と呼んだ。初めてかもしれない。洸と視線が重なった。洸も気づいたんだ。


譲が今から話すことは、あたしたちに隠していることは、譲が本気で話したいことなんだってこと。


あたしは洸の隣にそっと腰を下ろした。



「・・・俺は、一度だけ、たった一度だけ、愛衣を裏切った」



譲の放った言葉はあまりにも残酷なものであたしは窓を見てあたしたちと視線を合わせない譲をジッと見つめた。




「愛衣と付き合ってから一度だけ家庭教師の女と関係を持った。まあ向こうから無理矢理だったけど興味がないわけじゃなかった。だから、拒むこともしなかった。罪悪感より目の前の欲求が勝った。後悔した。だから愛衣と別れてお前らとも離れるつもりだった」



「・・・譲、あんた・・・」