Be yourself!


「――おいサル」

「サルじゃありません、藍田です」



絆創膏を貼った頬に触れながら、真生が私を見下ろす。



「なんでそれ、着てんの」



私の否定も右から左なのか、はたまたどうでもいいのか、彼の視線は私が着ていたTシャツに注がれていた。


なんだい、着ちゃ悪いかよ!

だけど私だってスタッフなんだから、着る権利はあるもんね!
(それにお金だってちゃんと払ってる)



「かっこいいなと思って……それに着たほうが手に取られやすいかと思って」



むっとしつつ、真面目に答えると、

「え……あ、そう」

真生はなんだかちょっと困ったように眉根を寄せて、そのまま一番に楽屋を出て行った。