ただ「モテたい」というだけでベースを始めた銀二さんに、たまたま目をつけられた真生がボーカルを押し付けられ、それからギター少年だったけれど、一匹狼だった多聞さんでバンドが結成されたんだとか。
(銀二のお兄さんの小次郎さんはあとから加入)
十代のころからずっと一緒にいて、だからまとまりがないように見えて、案外仲良しらしい。
死ぬほど目つきが悪くて、赤い坊主で二の腕にはごついタトゥー。
あれでお母さん、更生したって泣いて喜んでるの?
「そうだったんですか……なんだか奥深いですね……」
こういうメンバーの過去話が聞けるのも、地元の友達バンドならではかもしれない。
何がどう奥深いのかわからないけれど、妙な感動を覚えていた。
天使みたいにきれいなのに意外に短気な真生。
洒落にならないほどの元ヤンだった多聞さん。
銀二さんや小次郎さんにも、物語があるんだろうか。
