「あれ、そういえば多聞さんは？」
ふと思い出してみれば、彼も最初っからここにもいなかったような……。
すると銀二さんがウフフと笑いながら私の肩に腕を回し、こっそりとひそひそ話をするかのように顔を寄せてきた。
「真生に手を出した奴と話し合い。二度とこういうことしないでってね、友好的に」
「友好的に話し合いって……相当相手タチ悪くないですか？ 一人で大丈夫なんですか？」
「多聞って、実は昔相当のワルでね。なんていうか、あれ、暴走族のソーチョーとかしてたわけ。ヤクザから勧誘くる一歩手前だったの」
「は！？」
「バンド始めて真面目になった系。だからあいつの母ちゃん、泣いて喜んでるよ」
「あれで！？」
そうそう。このSaw Atのメンバー、小次郎さんを除く全員が、同じ地元の高校の同級生の24歳。（小次郎さんはただいま29歳らしい）
