「そう。で、いざSaw Atのライブが始まったら、歌ってる真生の顔に、レーザーポインター当ててきてね……」
「レーザーポインターって……なんなんですか、それ、ひどい! わかりました、私がちゃんと抗議してきます!」
だって私、社員だし!
その場で勢い予行回れ右しようとしたら、慌てた有田さんに手首をつかまれてしまった。
「弓削兄弟がオーナーのところに行ってるから大丈夫だよ!」
「あ、そっか……」
すみません、と頭を下げる。
そのまま肩を押されて、パイプ椅子に座らせられていた。
「――とりあえず飲み物買ってくるからね、藍田さんもここで待っててね」
本来なら私が行くべきだと思ったのだけど、私を楽屋から出したら危ないと察知したのだろうか。
有田さんは私にここで待っていろと何度も念を押し、楽屋を出て行ってしまった。
