「くっ……!」
思わず唇から抑えきれないうめき声が漏れる。
ムカつくムカつくムカつく!!!!
まぁ、確かに、研修に入ってから周囲のエリートぶりに若干遅れをとっている私だけど! 実感してるけど!
体力だけって……
「そんなはずないもんねっ……」
結局、震え声で池中の言葉を否定するしかできなくて、そのままテーブルを離れ、トレーの返却口へと駆け足で向かう。
せっかく長年の夢だったレコード会社に就職できたというのに、試用期間で首になるなんて、絶対に嫌だ。
っていうか、本当、そうなったらどうしよう……。
社員食堂を出て、よろよろと廊下を歩いていると。
「おっ、イノシシガール、相変わらず元気そうだな!」
そこでちょうど食事を終えたらしい、お父さん世代の社員に、いきなり言われて、そのまま廊下にガクッと倒れそうになった。
