――――……
なんて、けなげなことを考えていた私。
いったい誰がこんなことを想像しただろうか。
「ライブ中に喧嘩って……どういうこと!?」
楽屋の隅で、私はこぶしをギュッと握りぷるぷると震えていた。
Saw Atのライブが終わる時間になっても、出入り口に展開していた物販ブースは閑散としていて、どうして誰も来ないんだろうと不思議に思っていると、ライブハウスのスタッフさんが慌てたように私を呼びに来てくれたんだ。
ライブをしているはずの会場では、なぜかステージ上には誰もおらず、フロアの真ん中がぽっかりと空いていて、取っ組み合いの喧嘩が行われていた。
やりあっているのは、なんと……真生だった。
明らかに自分より悪そうな男とどつき合ってる。
