だってさ。アイドルならまだしも、ロックってキラキラ要素なんてないでしょ?
幸せな気分になれたり、しないでしょ?


私は仕事だからこれを一生懸命やるだけだし。


けれどさすがに有田さんにそんなこと言えるわけもなく、私はにこやかに笑顔を作って首を横に振った。



「そういえばあいつら……じゃなくて、Saw Atのメンバーはどこにいるんですか?」

「楽屋かな。ライブ終わったら物販に人流れてくると思うけど、弓削兄弟が手伝うから大丈夫だよ」

「はい、わかりました」



多聞と真生は手伝わないのか、と思ったけれど、あの愛想のない二人にはきっと客あしらいは無理だろう。

エロ弟とゴリラ兄さんの弓削兄弟のほうが、間違いなくずっと向いていると、付き合いの浅い私でもわかる。


その後、有田さんと今後の流れについていくつか確認をしたあと、階段を駆け下り、物販のスペース作りに励むことにした。