「多聞ッス……」
そして、恐ろしく低くて小さい声で、赤い頭のタトゥー坊主が革のパンツのポケットに両手を突っ込んだまま、じいっと私を見下ろす。
三白眼がギロリで見下ろされて、一瞬体が固まった。
こっわ!!!!
こわっ!!!
心臓の弱いお年寄りや小学生は泣いてしまうかもしれない。
ひくつく頬を何とか笑顔に変えて、なんとか頭を下げる。
そして多聞と呼ばれた彼は、斜め後ろの、ソファーに座ったままで動かない例の美青年を見下ろした。
「真生」
「――」
促されて、ようやく美青年は顔をあげ、私を見つめる。
キラキラした漆黒の瞳にまっすぐに見つめられて心臓がドキッとはねた。
