「あっ、すみませんっ……!」
身動き取れないよう押さえつけていた私。
ぱっと手を放すと、銀二と呼ばれた男の人が、ガツンと後頭部を床に打ち付けた。
「いってーっ……!」
後頭部を両手で押さえて、床をゴロゴロとする変質者。
いったいなんなんだ……。なぜ痴漢がここに?
呆然としていると、御子柴さんが相変わらずゴロゴロと転がっているそいつの腕をつかんで、その場に立たせるように引っ張り上げた。
「――っていうか、ごめんね……? 睡眠不足で、判断力が……鈍ってました……」
彼は後頭部を手のひらでなでながら、へらーっと笑う。
「俺、銀二。君は?」
