そして迎えたGW明け。
都内某所、青天目ビルヂングの十二階のワンフロアにあるドアの前に、私は仁王立ちしていた。
ドアに打ち付けられたプレートには『helix』とある。
「へリックス、かな……」
どういう意味だっけ。
それをじっと見つめたままの私。結局、なかなかドアをノックできないでいた。
だけどいつまでもこうしているわけにもいかないし……。
心を決め、すうはあと深呼吸を繰り返し、それからドアをノックする。
けれど何度ゴンゴンと叩いても、返事はない。
腕時計に目を落とすと、8時15分だ。
決して早すぎるということはない時間だけど……。
