「アルバイトや契約社員……って?」
「日本中にいる音楽好きな人間。あと、地方の業界人とかね。そういう人たちに毎月レポートを提出してもらって、金の卵はいないかと、探しているわけ」
池中の言葉に、唖然とする私。
思わず叫んでいた。
「そんな楽していいの!? 自分の目で確かめないの!? そんなんで金の卵なんて見つかるわけないじゃーん!!!!!!」
ウワワーン……と廊下に私の声が響く。
池中は両手を自分の耳に押し当てながら、チッと舌打ちする。
その冷え切った目は完全に「死ねよこの虫けらが!」と言っていた。
「あ、ごめん……」
今更遅いけど、口元を抑えてぺこっと頭を下げる。
