別にいいんだけどね。




「いいよ?」
断る理由ないもん、とさわかは言う。

「そ。」


短く答えて、無造作に中を見る。



『さわかへ。
この紙を持ち歩いてください。
さわかの部屋は206番です。
ガーベラに水を上げてください。
毎日男の子が来ます、友達です。
夜の9時には病室に戻ってきてください
お薬は2番目の棚です
本は3番目の棚です
テレビはあまり見ないでください

この約束はちゃんと守ってください』


・・・・時間かけて書いてたわりに、意外と短い手紙・・・
いや、

決め事だった。


「将来の保険?」
「うん。色々、アドバイスしてあげたくて」

「・・・」
未来のキミは今よりも
しっかりと動けると思うけどね。


なんて言わないけど。

「てっきり誰かに送るのかと。」
「まぁ、未来の私だけど」


「・・・・そう」
短く呟いて、僕は手紙をびりびりに破き始めた。

「あっ、ちょっと、何するの!」
せっかく書いたのにというような罵声をさわかが発する。


破片をごみ箱に捨ててさわかを見る。
ちょっと涙目だ。申し訳ない事をした。


「ゴメンゴメン。でも、僕はさわかを面倒見てあげるから、大丈夫だよ」

「絶対ってことないよ。私、男の子を忘れるかも」



それはないよ
「大丈夫だよ。忘れられたって。」

思い出すことはあっても
「大丈夫じゃない。私は男の子のことを、友達と解っていたい」


僕を忘れるなんて
ありえない




「平気。約束するよ。さわかは僕を忘れない。」




その日僕たちは
指きりの約束をした。