〜その頃、野々歌〜

(なんでこんなに急に婚約なのよ!しかも相手は奏ちゃん⁉)

野々歌はそんな事を考えながら会長室の隣りにある応接室のソファーに座っていた。

そして、トン、トンと扉を叩く音がした。

「はい。どうぞ…」

そう野々歌が言うと…

奏夜が入ってきた。

「奏ちゃん…」

「野々歌、さっきの事で話したい事がある。いいか?」

「うん。」

「率直に聞く、野々歌は俺との婚約は嫌か?」

「嫌ではないよ。ただ…」

「ただ、なんだ。」

「ただね…わかんないの。」

「わからない?」

「そう。奏ちゃんの事はもちろん好きだよ。だけど、恋愛としての好きでは…ないと思う。私、恋愛とかした事なくて。婚約って言われても全然ピンとこなくて…だからね。わかんない。」

「こんないい加減な気持ちで奏ちゃん…傷つけちゃいそうで嫌なの。ゴメンね。」

「そもそも、奏ちゃんは、私との婚約ってどう思う?」

「俺は///」

奏夜は、決心し。顔を真っ赤に染めたまま、野々歌に向かって…

「俺は、お前のことが好きだ。それは、幼馴染としての好きじゃなく。恋愛としての好きだ!」

野々歌は驚きながら奏夜のことを見つめていた。

「俺も今まできずかなかった、でもおじさんと話してて思った。俺は野々歌の事が好きだって。」

「だから、俺は野々歌と婚約したい。」

「でも、お前が嫌だっていうのなら、諦める。だが、俺は絶対野々歌を高校卒業するまでに、振り向かす。俺に好きって言わしてみせる」

決意を込めた強い眼差しで奏夜は野々歌に思いを伝えた。

野々歌は少し考え、

「奏ちゃん、変わったね。」

っと言った。

「俺のどこが変わったんだ?」

「全部。昔はあんなに弱くて、すぐ泣いて。おまけに背だって私より低くて、でも今は強くてかっこいい、すごく変わった。」

「野々歌……」

野々歌は歩いて扉のほうに行き、

「さっきの言葉、本当?」

っと聞いた。

奏夜は

「本当だ…」

と言った。

その言葉を聞いた野々歌は、

後ろを振り返り満面の笑みで…