それを見たとき、俺は感じた。
冬嘉に怖い思いをさせたのは俺だ。
俺とあいつら3人と仲悪いから…あいつらは、俺に何かしてやろうと思って、冬嘉をターゲットにした。
あいつらを憎む気持ちと、自分を責める気持ちが交差する。
冬嘉とこれからも、俺が一緒にいたら?
またあいつらに何かされて、冬嘉は泣くのか?
冬嘉は苦しむのか?
俺のせいで…冬嘉は…。
俺が冬嘉の事、忘れれば…諦めれば…
そう思ったら、こんな事を言っていた。
「冬嘉は俺の事迷惑なんだよな。」
驚きを隠せない冬嘉の表情に、期待してしまう。
駄目だ。
期待したら…もっと離れられなくなる。
俺はそう言って冬嘉に背を向け、ゆっくりと歩き始めた。
冬嘉の視線を背中に感じながら。
冬嘉の頭をもっと撫でてあげたかった。
冬嘉を抱きしめてあげたかった。
冬嘉ともっと一緒にいたい。
諦めたくない。
まだ好きでいたい。
まだ好きだよ…
冬嘉が…好きだ……
離れる距離に比例して、好きだと思う気持ちは膨らんでいく。
…馬鹿だな…俺…。
俺は振り向かなかった。
振り向きたい。
けど、無理だった。
そしたら、冬嘉に駆け寄ってしまう自分が分かっていたから。
俺は自分の教室の中へと、足を入れた……


