俺の頭の中はずっとこんな感じ。
冬嘉の事ばっかり。
俺が告白してからも、する前からも。
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冬嘉の事が好きになったのは、確か俺が入学して初めての体育祭の時だったと思う。
冬嘉は障害物競走をやっていたんだ。
転んだり、失敗したり、ドジばかりやって、皆に笑われてたけど、それでも一生懸命やってた。
やっとゴールに辿り着いた冬嘉はなんと努力の末、見事2位。
皆驚いてて、冬嘉と同じクラスの連中は、冬嘉をすげぇ褒めてた。
その時の冬嘉の眩しい笑顔を今でも覚えている。
そして。
俺はリレーの選手だった。
アンカーとして走りきって、1位でゴールすると、俺の周りを大勢の女達が囲んできた。
俺はリレーの選手達や、友人達とかと「どうだった?」なんて話したかったのに。
俺は俺にまとわりつく奴らが嫌で。
さすがに女だろうと関係無しにキレてきた。
俺のイライラが頂点に達しようとしたとき…
『その人疲れてるんだよ?しかも困ってるよ?』
そう言って、女達に注意してくれたのは、紛れも無い、先ほどの印象に残った…
冬嘉だ。
゛海宝 冬嘉゛
俺はその時、体育着に縫い付けてある刺繍の名前を見た。
そんな女、初めてだった。
きゃあきゃあうるさく、騒がしくなんかない、女は。
俺のことを気遣いしてくれた、女は。


