蓮はゆっくりと近づいてきた。
男3人は動揺しているのか、目を丸くしている。
『何やってたんだよ。』
蓮の表情は険しい。
眉間に皺を寄せ、男たちを鋭く睨みつけている。
男たちが少しづつ下がっていくのが分かった。
あたしは、蓮の見た事の無い表情にただ驚くだけ。
『ふざけんじゃねぇ』
蓮がそう低く言うと、男たちはさっと去ってしまった。
廊下に静けさが訪れる。
蓮と二人きりの……長い廊下に。
「…れ……ん…ッ」
あたしの目から、我慢して堪えていた涙がぶわっとあふれた。
恐怖。安心。
いろんな思いが混ざった複雑な中で、あたしは蓮の名前を呼んだ。
『冬嘉…まじごめん。』
蓮はあたしの頭を優しく撫でた。
……温かい。
大きな手が、安心をくれる。
しばらくこのままでいて欲しい――。
……しかし。
………え?
蓮の手が、すぐにあたしの頭から離れた。


