『ごめん…あんな無理やり…』
すまなそうに言う先輩。
『泣いてるお前見て、我慢できなくて。
悪かった。
俺、これ以上海宝困らせたくない。
…だから…海宝は、守谷に自分の気持ち伝えてこいよ。』
…え?
『これで最後にする。
ごめんな。
俺は海宝が好きだ。
これからも、好きだと思う。
けど、もうお前困らせたくない…
お前と守谷の邪魔はしない。約束する。
…俺のせいだよな。
なんか、もう頭混乱して守谷せめちまった。
本当に、ごめん。』
先輩は頭を下げた。
…先輩の気持ちはよく分かる。
誰かを諦めきれないって気持ち。
その気持ちが勝手に、自分の思考とは逆に動いてしまう。
先輩じゃなくて、悪いのはあたしだ。
「…いえ…」
『ただ…』
先輩が頭を上げた。
『俺は、時間がかかっても、また海宝と話したりしたい。
もちろん、お前を奪おうなんて事は思わない。
…いいか?』
………先輩。
「…はい。
良いですよ。」
あたしは笑える限り笑った。
先輩は微笑んだ。
『じゃあ、守谷は試合だから…
帰りに、海宝の気持ち、伝えればいいと思う。』
…うん。そうだよね。
あたしの気持ちを。
「……はいっ!!!」
先輩、ありがとう。
あたしと先輩は別れた。


