蓮が左手であたしの髪を撫でる。
優しく温かく大きい手。
安心できる、この手。
あたしを捕らえて離さない、この瞳。
……もうダメだ。
逃げられない。
檻の中の鳥みたいに。
この麻薬にかかって、あたしは熱くなる。
苺みたいに。赤くなる。
『怖くねぇから』
……知ってる。
怖く無いよ、蓮となら。
ちょっとした強がりだけどね。
蓮はあたしをそっと優しく包み込む。
その手で、あたしを優しく。
その瞳で、あたしを激しく。
離さないで。
蓮の右手と、あたしの左手。
蓮は絶対離そうとはしない。
それが凄く嬉しい。
安心できる……
もうあたしは、中毒になりそう。
甘い苺みたいな罠にかかれば、熱い麻薬が降り注ぐ。
そしてあたしはもう虜になる。
初めて感じる感覚。
「…れ…んッ」
『大丈夫だから。』
笑顔の蓮。
その笑顔があれば、大丈夫なんだ。
熱くなる。
おかしくなりそうなくらい。
「…蓮………ッ」
何度も声に出す、名前。


