『……早く』
そう言った先輩の表情は辛そうな、悔しそうだった。
……どうして?
『…好き、なんだろ?』
掴まれた肩が痛い。
動けない。
……………。
「………好き……です」
小さく、ため息みたいにかすれた声で言った。
あたしの顔は自然と熱を帯びる。
『………俺』
…………え?
何で………
あたしの肩を掴む手が
………震えてるの?
「……せ…んぱい…?」
先輩はあたしを真っ直ぐ見つめた。
睨んでいない、
優しい目で。
『……俺っ……』
先輩が息を小さく吸い込んで再び言った。
…………
『……海宝が好きだ…』
……………っえ……?
『…お前には守谷がいるって…自分に言い聞かせてた。
けど………
諦めるなんて無理…』
………何?
先輩が…………
あたしを…好き?
『お前が前に、泣いてた時とか………
きっと守谷が泣かせたんじゃねぇかって……
そんな奴に海宝任せられるかって思って…』
嘘でしょ?
これは……夢?
驚きすぎて動けない。
声も出せない。


