あたしがそうポツリと呟くと、それは蓮の耳に届いたらしい。


蓮はあたしの方を見た。



『……冬…嘉…』




少し驚いた顔であたしを見る蓮。



どうして…?
どうしてそんな顔するの…?




あたしが此処に来ちゃいけないの…?
蓮に会いに来ちゃ…いけないの?


被害妄想かもしれない。



けれど、胸の痛みは増すばかり。




『座って。』



蓮があたしを自分の隣へと促す。


あたしは、ゆっくりと腰をかけた。



……何か話さなきゃ。





「び…びっくりしたよ!!
…ホストだなんて…」


あたしは自分の髪の毛を押さえながら話す。


目線は蓮に向けない。



蓮の視線が、あたしに降り注いでいる。




………ッ…



それでもあたしは目線を合わせようとしない。





何も喋らない蓮は、ただただあたしを見つめる。






どうして、何にも喋ってくれないの?

…どうして…





どうして…


あの子達にしてたみたいに笑ってくれないの?





『冬嘉…こっち見て。』





蓮に小さく囁かれる。



どうして…どうして…




フラッシュバックする映像。



いつもあたしには向けてくれる笑顔。
眼差し。低い甘い声。



なのに、今は何もしてくれない。




あの子達にはしていたのに。