『守谷の事で…悩んでるのか?』
………え……
な……んで…
「違います…っ」
何で分かるの…?
先輩は、あたしの頬にそっと手を添えた。
な……に?
「せんぱ…い?」
先輩はじっとあたしを見つめる。
『アイツの事で悩むなよ…』
………え?
「何…?」
『アイツの事で…悲しんでるの?』
そう言った先輩の方が…悲しそうだよ…
先輩の曇りがかった表情と潤んだ瞳。
初めて見る苦しそうな表情に、胸が締め付けられた。
『海宝……』
………ッ…………
『冬嘉ちゃーん』
その声にあたしはハッとした。
「は、はいッ!!!」
『指名だよ~』
先輩はあたしの方を見てフッと笑うと、「頑張れよ」と言って立ち上がった。
「はい……」
『あ、俺のクラスお化け屋敷やってるから。
来ない?』


