あたしは俯いていた顔を上げた。
目の前から声が聞こえたから。
そこに立っていたのは…
三宅先輩だった。
『てめぇらみたいなの相手にするほど暇じゃないってよ』
三宅先輩は3人組を挑発するように睨む。
『あ?』
『誰、あんた?』
『3年?』
3人組は負けじと睨み返す。
『俺もてめぇらを相手にする程暇じゃねぇんだけど?
海宝、行くぞ』
三宅先輩はそう言うと、あたしの腕を取って立ち上がらせた。
そして、あたしを引っ張って3人組から離れた。
後ろから3人組の舌打ちが聞こえたので、3人組はどこかへ消えたようだった。
『大丈夫か?』
三宅先輩は、あたしを先ほどのテーブルから離れた所のテーブルに連れて行った。
あまり人から見えない所にあるこのテーブル。
そこを選んでくれた事が、勘違いかもしれないけどその心遣いが嬉しかった。
先輩はあたしの頭をそっと撫でると、にこっと笑った。
「ありがと…ございます……」
あたしの涙腺は刺激され、涙が溢れそうだった。
『全然。』
先輩はニカッと笑う。


