『もしもし…先輩?』





出た。







「彩乃?よかった。声聞けて。今、ホテルの部屋戻ってきたところでな、彩乃に電話しようと思って。」






『せん、ぱい…!』






…彩乃、泣いてる?








「彩乃…?泣いてんのか?どうした?」






『ううん、なんでもないの。修学旅行、楽しんできてね。』








「…ん。ありがとな。お土産、買ってくから待っててな。」





そういったのはいいものの、確実に泣いている。



理由を聞くべく、息を吸い込んだ、瞬間。






『うん!』





無邪気な彩乃の声が聞こえて、安心した。




そのまま少し言葉をかわして電話を切った。