今度は彼が呆然となる番だった。その表情にはどこか間抜けさが見えて、笑いそうになる。


けれど彼は臆病だから、それを指摘してしまえば引っ込んでしまう。だからあたしは堪えた。

ふと目を向ければ、床に赤い水玉模様。ああ、この人があたしを止めたんだ。


「…どうして?」

「あ?」


これ、この人の癖なのだろうか。あ?って。

あたしは息を吐いて、そっと彼の手のひらを巻いた衣服に触れる。彼の手が、緊張を帯びたのが分かってしまった。