ならばと速さを上げる。どうにも彼には勝てる気はしないが、撒ければこっちのモノ。 あたしは住宅地を、手当たり次第に曲がった。 雨で視界は最悪。足は裸足で痛々しい。打撲が残る箇所は熱を持つ。 でも… 「っんで…」 何で撒けないの? 心の隅で「無理だ」という気持ちと「やめてしまおうか」という諦めが浮かぶ。 でも、今捕らえられたらそれこそ、何をされるか分からない。 ――考えろ、考えろ。