しかし、唯一の武器であるポーカーフェイスは変わらなかった。無言で無表情に、彼を見つめ返す。 彼はそれが癪に障ったらしく、眉間に眉を寄せる。 睨み合って、数十秒。 あたしは地面を蹴り上げ、水しぶきを撒いて走り出した。迷っちゃ、駄目だ。 ――迷ったらお終いだ。 「っ――」 「――」 右の住宅地の道に入り、全力で走りながら息を呑む。後ろから、足音が聞こえるからだ。 追いかけて来てる。