中庭だったのは本当にラッキーだった。 全身の運動神経を使い、木によじ登る。雨による湿りで手が汚れたりしたが気にしない。 木から見下ろすと、塀という隔ての向こう側が見える。 普通の道路、だ。 住宅地も犬猿するように建っていた。しかし中の人があたしの助けを拒絶するのは目に見える。 “別邸”は大きい。相当な権力者に決まってる。 そこから抜け出した“反逆者”のあたしを歓迎する人間が何処に居よう。