◆ 中庭にはグレーの高い壁が周囲を囲んでいた。 雨に濡れて全身が冷えていくのを自覚しながら、中庭を横切り、木に手をかける。 玄関になんて回れる訳がなかった。 それまでの道のりで姿を確認されたらアウトだし、それから玄関で捕獲されるのは目に見えてる。 此処に人が居るのは間違いない。もうじき食事の時間だし、日向君も居るだろう。 鶴来という人に命令されているのに、勝手にあたしを逃がすはずがない。