◆ その日は雨だった。 じめじめした空気に眉を寄せながら、いつもより遥かに上機嫌に料理のメニューを考える。 ――あいつは会話の中で「煮物が好き」と言っていた。温かい食べ物が中心に好きらしい。 カタリ、と音が響く。 料理本が落ちた音だった。俺らしくない、無駄な出費。 無駄かどうかは、作った後に決めるけど。あいつが喜ぶんなら、使ってやらなくもない。