蕾は未だに咲かないⅠ




その日は雨だった。

じめじめした空気に眉を寄せながら、いつもより遥かに上機嫌に料理のメニューを考える。


――あいつは会話の中で「煮物が好き」と言っていた。温かい食べ物が中心に好きらしい。

カタリ、と音が響く。

料理本が落ちた音だった。俺らしくない、無駄な出費。

無駄かどうかは、作った後に決めるけど。あいつが喜ぶんなら、使ってやらなくもない。