輔さんの動作が止まり、緩やかに目線がポケットの方へと向けられる。 あたしは黙って天井を仰ぎ、1つ、まばたきをした。涙も、安堵の息も出ない。 ただ、胸の奥で黒い渦が巻いた。それが渇望と罪悪感だということに気付くまで、しばらく時間がかかった。 「もしもし……は?」 電話に出て早々、輔さんは表情を曇らせる。 不機嫌ではない、ただ面倒だとでも言うように溜め息をつく。そして、あたしの上から退いた。