すると、彼が微動だにしなくなった。

固まって、こちらを凝視したまま。睨みはすっかり失せて、“呆然”と言うのが合う。


思わずこっちが固まった。
な、なに。


「……別に、」

「?」


彼は我に返ると、ふてぶてしい顔で御膳を手に取り、此方から目をそらして背を向ける。


そして、聞いてしまった。

彼の独り言か返事か図りかねる、つぶやきを。


「別に…てめぇの為に作ってるワケじゃねぇし…。」