「………、…」


 抱き締めていた小さな身体がビクリと肩を震わせ、漏れるように声が発される。

 何と言ったのかすぐに分かった。

 けれどそれに答える前に、小さな身体は人形のように引きずられていった。



 ――温もりが消えた。



 それは俺に、とんでもない恐怖と空虚感を与えた。

 ――死よりも恐ろしい感情を与えていった。