彼は好きでもない女を抱いたって何とも思わないらしい。感想も全く無し。 あたしは少し軽蔑の感情が浮かんできたけれど、差し出したのはあたしであって、あたしの方が軽蔑される対象という事を思い出した。 携帯を握り締め、立ち上がる。 「…さようなら。」 お礼を言わなかったのは、最後のプライド。 輔さんは此方を見ずに片手を上げ、それをひらひらと揺らすと「さよなら」と楽しそうに返した。