それでも、死にたいのはあたし一人じゃなかったから。

“二人”だったから、死という選択は選ばなかった。どうにかして生きていこうと思った。


――あたしが服を全て着て布団を片付けた所で、輔さんが戻ってきた。手には懐かしい気がするあたしの携帯。


そして、やっぱり扉は音をたてたりしなかった。


「コレ、はい。今見張りの奴らに休憩しろっつって来たから、普通に逃げれる。」


輔さんはニッコリとして、携帯をあたしの手の上にポン、と置いた。