あたしは膝を曲げて体育座りになり頭を抱え、彼から意識の遮断を試みる。 けれど彼は、いとも簡単に入り込んできた。 じわじわと、心臓を締め付ける美声で。あたしを追い詰める、真っ直ぐさで。 「俺は、お前のその強い目が好きだ。」 ぎ、パタン。 閉じられた扉、確立された後味の悪い空間。あたしは溜め息をつき、全てを忘れようと決めた。