…嘘だろ。 口を閉じたまま固まった俺に、鶴来さんは小さく舌打ちをして冷たい瞳を向ける。 俺はさらに、何も言えなくなった。鋭いそれは、逆らえない。 「知らねえのか。」 「……城崎、明津です。」 次は俺自身に呆然とした。 覚えるつもりなんてなかったのに、しっかり脳に刻み込まれている。俺の料理を、美味いと言ってくれた声音も。 輔さんに、蔑まれたのに。 けれど鶴来さんも、俺と同じように変化してる。