~桜花~





「鬼に..?」



鬼って..あれだよね?


ももたろうさんとか、そういう昔話的なものに出てきた悪者だよね。



視線を落とすと開かれた書物が目に入った。




文章は難しくてなんて書いてあるか分からないけれど、挿絵がその当時の事を詳しく
教えてくれた。



子供を抱えながら走る女の人、それを追いかけるのは赤い鬼。
それらを守ろうとした男の人が青い鬼につままれている。
大きな口を開けている――まさに喰おうとしているところだった。




「桜花では鬼に喰われた人が何千もおったらしい。人々は途方にくれた。
残されたのは絶望だけだった。せやけど、ある力のある者が鬼を封印したんや」