~桜花~







校舎を出ると空は既に暗くなっていて、星も少しずつ出始めている。



静はお母さんに買い物を頼まれたらしく、今日は一人で歩いている。




今日も月が綺麗だなぁと思ったその時だった。




ゴォォォ!




低い声が鳴り響いたと思うと、大きな影が満月に重なり、こちらにやってくる。




朝に見たのと似ている―――もしかしたら、同じものかもしれない





「あれは何?」





どんどんこっちに向かってくる





“逃げなきゃ!”そう思っても体がうまく動かない。




必死に体に命令しているのに、まるでそれを拒否するかのようだ。




どうしよう、誰か!




目をぎゅっと瞑った瞬間、また違うところから何かが来たような気がして目を開いた。