おみさま、というものが何なのか私達には分からない。
ただ小さい頃から歌ってきたただのわらべ歌、という事しか分かっていない。
そしてこの歌は私だけじゃない、
お父さん、お母さん、おじいちゃんも幼いころから歌って育ってきた。
メロディーがちょうどいい長さなので、人数を決めたりする時に使われる。基本はグーとパーで決めるのだけれど、グループを増やす場合はチョキや人差し指と親指を立てたりして出しあう。
「あ、私と長沼さん、田淵さんが掃除係ね」
私が言うと、静がすぐに答えた。
「了解!それじゃあ私達は部室の後片付けね」
一年生は全部で6人。三さんに分かれて各自作業に取り掛かった。
「そういえば四月朔日、今日放送で呼び出されたよね?」
「げ、やっぱり分かった?」
「そりゃあ分かるよ、四月朔日、なんて珍しい名字は楓夏くらいだもの」
なんていうやり取りをしながら片づけを一通り終え、一年生もやっと解散になった。


