~桜花~





風が吹く度に桜の木々が揺れ、花びらがまるで雪のように降る。




空には細く、今にもちぎれてしまいそうな、白い月。




ぼんやりと眺めていると静が何かを思い出したように声を上げた。




「どうしたの?」




気になって返事をすると、急にあたしのセーラー服の胸元を見ようとするから
慌てて隠す。



「ちょっと静!」



「へへ、だって、ほら、楓夏の胸元にもあるじゃない、桜のマーク」



「あぁこれか」




マークというよりは痣の方が近い。





私にもよく分からないんだけれど、生まれた時からこのあざがあって。




家族はすごく不思議がっていたみたいなんだけど、私は物凄く気に入っている。




「なんかいいよね、楓夏だけ特別な感じがしてさ」