「香織、金縛り頼む」 火茂瀬は前嶋の足を抑えながら、平塚の霊に命令する。 だが、前嶋の動きが止まる事はない。 「……あれ?」 火茂瀬が首を傾げる。 火茂瀬は目を瞑り、意識を集中させている。 「少し離れた所に居るなぁ……会話が出来ませんね」 「代わろう、俺が殺る」 火茂瀬と場所を交代して、コートの内ポケットからナイフを取り出す。