ゴム手袋の手で火茂瀬は練乳の容器のキャップを開ける。

前嶋に近付き、仰向けになっている前嶋の足を開いた。

「冷たっ!!」

火茂瀬は前嶋の体温の低さに驚いて手を引っ込める。

「……んんっ……」

前嶋がゆっくりと瞼を開ける。

凍死はしていなかったようだ。

「ひっ……!!」

前嶋は自分が置かれている状況を瞬時に理解し、逃げようとした。

だが、全身かじかみ上手く体を動かす事が出来なかった。

「しばらく金縛りは要らなさそうッスね」