折られた関節から骨が皮膚を突き破り、死体は血の海に浸っていた。

血管は千切れ、噴き出た血が壁や割れた窓ガラスを汚していた。

「前回の犯人は“執行人”が殺っちゃったから、今回は俺たちで犯人捕まえないとな。まぁ……仕事の早い執行人に勝てる気はしないけどさ」

困った様に頭をガシガシと掻く白城を見つめ、彼の発言を心の中で訂正した。

執行人は美人でスタイルの良い若い女を殺害した犯人を殺す、善良な様で全く真逆の連続殺人鬼のこと。

本物の執行人は、その条件にプラスして“長髪”なのだが、前回森で殺された犯人が殺した女はショートヘアだった。

僕は前回の犯人を殺したのが執行人のコピーキャットだと知っている。

だが、僕はその事実を誰にも言っていない。

警察がコピーキャットだと断定できる証拠が無いからだ。

「執行人は殺人犯だけ殺すんだから捕まえなくてもいいんだけどなぁ〜」