「っ!!」 咄嗟に腕に力を入れた。 すると先程まで動かなかった腕が動いた。 「やめてくれ」 僕は平塚の肩を押した。 平塚は驚いた顔で上半身を起こした僕を見つめる。 「火茂瀬に何て言われてるのか知らないが、僕はそんなつもりは無い。君が僕の目の前に現れた時点で、あいつの言う証明は出来たんだ。僕はそれで満足だから」 平塚は目をパチクリさせながら僕の話を聞いていた。 『優しいんですね』 平塚はベルトに掛けた手を引っ込めた。