今回の被害者である平塚香織は長い髪を耳に掛け、顔をぐっと近付けた。

『真斗さんから、貴方に会ってくるように言われたの。四方木梓さんよね?』

互いの呼吸が聞こえる。

「あぁ。それより、どいてくれないか?」

『あら、ダメよ』

平塚は艶かしい笑みを浮かべる。

『真斗さんと一緒に、あの男を殺してくれるんでしょ?私は……もう死んじゃってるから、これくらいしかお礼が出来ないのよ』

平塚は悲しい表情を浮かべた後、急接近して僕と唇を重ねた。

「っ!?」

平塚を退かそうと腕に力を入れたが金縛りに合っているのか、全く動かない。